夜の一族に光は

5 0 0
                                    

 サヨは廊下に出た所で栄次とプラズマが話しているのに気づいた。
 「栄次、リカが怪我をしていた。凍夜はそこまで大変なのか」
 「......凍夜は容赦がない上、術を使い惑わせ、おまけに強い。だが、記憶内の凍夜を見ると、更夜の方が強いと思った。故に、そこまで苦戦するほどではない。ただ、恐怖に縛られた子供を奮い立たせ、凍夜を討たせるという部分が難しい」
 栄次の言葉にプラズマは何かを考え始め、やがて口を開いた。
 「栄次、千夜はお前だけで行け。リカが怪我をしたなら、時神は更夜を探す。凍夜に関わるのはリスクだとわかった。消えた更夜......時神の安否のが大事だろ」
 プラズマの発言で栄次は複雑な表情を浮かべつつも頷く。
 「やはりそれが一番か」
 「今回の、望月家を救うという部分は俺達には関係ない。時神を危険にさらしてまで行うことではない。栄次はかすり傷だけだった。つまり、栄次は凍夜より強い。だから、栄次だけでこちらは問題ないだろう。他は更夜捜索と待機にわける。時神の仕事ができなくなると世界が回らない」
 プラズマは冷たい雰囲気で淡々と指示をする。
 「時神が関わるのは時神の部分だけにする。アヤが厄に入り込まれる可能性があり、アヤを守ることも忘れずにな。栄次は千夜の術を解いたら、手をひいて、更夜捜索に動け。凍夜と共にいるのは最大級の厄神だ。時神を優先に救い、様子を見た方がいい。高天原はおそらく気がついているが、弐の世界には、なかなか干渉できないため、慎重に動いているはず。弐の世界と壱(現世)の狭間にいる書庫の神、天記神(あめのしるしのかみ)が情報をワイズに流していると思っていい。あの神はワイズ軍だ。だからな、望月家は早く凍夜を処理したいワイズ軍に邪魔されることになるはずだ」
 「......確かにそうなりそうだ。わかった。先を見て俺も動く」
 栄次の返答にプラズマは頷いた。その様子を見つつ、サヨは思う。
 ......そう、プラズマくん。
 それが正しいよ。
 望月のフォローも抜かりない。
 プラズマくんは判断を誤らない。
 「ほんと、すごいよ......」
 サヨはつぶやいてから歩き出す。
 ......こういう時、あたしはすぐに決断できるのか?

 サヨは不安を心にしまい、栄次とプラズマの元へと進んだ。 「リカの処置、終わったよ。だけど、アヤは力の制御が今は難しいみたいで巻き戻しが使えない。リカとアヤを休ませるなら、千夜サンを救うのはおサムライさんだね。逢夜サンも連れて行ったら?」 サヨはプラズマと栄次に軽く話しかける。栄次は黙ったままサヨを見据え、プラズマは少し驚いていた。 「サヨ、いたのか

Oops! This image does not follow our content guidelines. To continue publishing, please remove it or upload a different image.

 サヨは不安を心にしまい、栄次とプラズマの元へと進んだ。
 「リカの処置、終わったよ。だけど、アヤは力の制御が今は難しいみたいで巻き戻しが使えない。リカとアヤを休ませるなら、千夜サンを救うのはおサムライさんだね。逢夜サンも連れて行ったら?」
 サヨはプラズマと栄次に軽く話しかける。栄次は黙ったままサヨを見据え、プラズマは少し驚いていた。
 「サヨ、いたのか......。そうだな。逢夜の術は解いたんだ。逢夜が動ける。だが、とりあえず今回は栄次もつける。千夜は幼いはずだし、女の子だ。難しいと思われる。で、サヨとヒメは記憶の固定だろ? 俺は......待機する。オオマガツヒに入り込まれる危険がある更夜の親族であったアヤを守る、凍夜に一度会っているリカも守る。それから、ルナも守らないとな。弐の世界の更夜の家で待機する。リカをあまり動かしたくはないが、ひとりでいさせられないから一緒に連れていく」
 プラズマの言葉にサヨは頷く。
 「それが今は一番かもね? じゃあ、さっそく行く?」
 「ああ、そうしよう」
 プラズマはサヨの問いに答え、歩きだした。

  「戻ったぞ。方針を決めた」
 プラズマが部屋に入るなり言った。
 「戻ってきたな」
 救急箱を片付けている逢夜にプラズマはこれからの進み方を話す。
 「まあ、そうなるわな。じゃあ、さっそく戻ろう。サヨ」
 逢夜はプラズマの言葉にさっさと同意し、サヨを呼んだ。
 「逢夜サン、決断はやっ! ハイハーイ、弐の世界の門、開きまぁす」
 サヨはすぐに門を出し、入るように促した。
 「じゃあ、ワシは先にいくぞい」
 ヒメちゃんが一番に門をくぐる。
 「リカ、弐でとりあえず、休め」
 栄次はリカを優しくゆっくり抱きかかえ、負担なく歩きだす。
 「痛くないか?」
 「......はい、大丈夫です。ありがとうございます。千夜さんを助けたかったですが、仕方ないです」
 リカは落ち込み、栄次は息を吐いて続けた。
 「俺がなんとかする」
 「......過去が見えるって辛いですね。初めてこんな気持ちになりました」
 リカの言葉を聞きながら、栄次は弐の門をくぐる。
 「人に同情的になってしまう。どうにかして助けたいと思ってしまう......。俺は昔からそうだ」
 「わかりますよ。栄次さん。私はちゃんと栄次さんの相談は聞きますので、私で良ければ辛い気持ちを吐き出しても......」
 リカは心配そうに栄次を見た。
 栄次の「過去見」がどういうものかわかり、リカは栄次の気持ちを少し理解していた。
 「大丈夫だ。ありがとうな」
 栄次はいつも多くを語らない。
 人に話しても意味がないことを良く知っている。
 「辛かったら......」
 「お前に相談することにする。リカ」
 栄次がリカに話を合わせたことで、リカは自分の子供っぽさを感じた。栄次は八百年生きている。
 十八の青年のはずなのに、精神が自分とはかけ離れている。
 自分より重たいものを彼は背負っている。
 「俺はお前の方が心配だ。過去見に近い力を見たことで不安定になっている」
 「......はい」
 「今は休みなさい」
 「......わかりました」
 栄次とリカの会話を聞きつつ、アヤは複雑な表情を浮かべていた。皆が不安定になっている。
 それはアヤ自身もだ。
 自分は恐怖が抜けない。
 なんだか嫌な予感がする。
 「アヤ、門に入りな」
 プラズマに声をかけられ、アヤは肩を上げ、怯えた。
 「......大丈夫か?」
 「......大丈夫なのかしら......私」
 「大丈夫じゃねぇな。......逢夜!」
 プラズマは門に入りかけた逢夜を呼んだ。
 「ん? なんだ?」
 「厄除けの神、ルルを呼んでくれ」
 プラズマの言葉に逢夜は止まり、振り返った。
 「妻は巻き込まない」
 「......アヤが一番オオマガツヒに入り込まれる。あんたの妻の力で厄除けをしてくれないか」
 「結界を妻に張らせるのか? 妻はそこまでの力はないぞ」
 「......そうか」
 プラズマが落胆の声を上げた時、すぐ近くから少女の声が響いた。
 ヒメちゃんでもサヨでもなさそうだ。
 「け、結界なら張れます! アヤを守ることくらい、できるよ!」
 「おう? だ、誰だ」
 プラズマが慌て、逢夜が頭を抱えて声のした方を見る。
 「ルル、こっそりついてきて、盗み聞きとは悪い子だなあ......」
 「ルル!? この子が......」
 門をくぐっていないのはプラズマとアヤ、門を開いているサヨだけだ。三人は突然の登場に驚いた。
 ルルは短い紫の髪をした活発そうに見える少女だった。
 「逢夜! なんでウソつくの? 私、結界張れるよ!」
 ルルは逢夜の前まで来ると、半分怒りながら言うが、逢夜がルルに目を向けた途端にルルは口を閉ざした。
 「ルル、言いたかった事があるんだろ? 続きは?」
 「......」
 ルルは黙り込んだ。
 「黙んなよ。文句あんなら言え」
 「文句は......ないです」
 ルルが萎縮し、逢夜は慌てて雰囲気を変える。
 「あ、ああ、わ、わりぃ......すまねぇ。俺がお前を巻き込みたくなくて言った嘘なんだ。お前が怪我すんのもやだし、ワイズ軍が動くのも嫌なんだ」
 「......私、ワイズ軍だけど、私は逢夜のために来たんだよ。だから、疑わないで」
 ルルは少しせつなそうに目を伏せた。
 「う、疑うよりも怪我が心配でしょうがねぇ......。凍夜に狙われたらと思うと......。い、今もな、ひとり怪我したんだよ。俺にとってお前は一番大事な存在だ......だから......」
 ルルに対し、珍しく表情が情けなくなった逢夜にルルはさらに声を上げる。
 「逢夜! そんなこと言ってる場合じゃないんだって!」
 「どういう......」
 逢夜が困惑していると、サヨが横から口を開いた。
 「どうやらそうみたいだわ。弐の世界の『個人の心の世界』がオオマガツヒと凍夜に乗っ取られて、個人個人の想像力をなくしてる......」
 「なんだと!」
 逢夜が叫び、プラズマはアヤに寄り添う。
 「あたしの世界はまだ大丈夫。拠点にするなら、ルルが結界を張って少しでも厄が入らないようにするしかないね」
 「まずいな......そんなことをやり始めたか。弐(夢幻霊魂)の世界にある感情ある生き物の心を乗っ取り、壱(現世)を支配するつもりか」
 プラズマが頭を抱え、アヤの震えが酷くなる。
 「......アヤ、お前まさか......」
 「わからないっ! やめてっ!」
 アヤは突然泣き始めた。
 「弐の世界にある心をオオマガツヒに......」
 「嫌っ! 助けて......やだ......『凍夜様』が来る......」
 プラズマはとりあえず、アヤを優しく抱きしめる。
 「大丈夫。俺達がいる。ルル、なんとかできないか?」
 「......アヤの心を弐の世界で見つけて、元凶のオオマガツヒを追い出すしかないよ」
 ルルは心配そうにアヤを見ていた。プラズマはすぐに答えを出す。
 「......更夜を探す前にこっちが先だ。アヤは......『壊れちゃいけない』神なんだよ。サヨ、俺はアヤを優先で助ける。とりあえず、アヤの心に連れていけ」
 「......わかった。千夜サンはどうする?」
 「俺をアヤの心に連れていくのが先だ。千夜は後回しにしろ」
 プラズマはいつもの雰囲気を消し、やや高圧的にサヨに言った。
 「......わかった。とりあえず、あたしの世界に」
 プラズマはアヤを抱き上げ、背中を優しく撫でながら門をくぐって行った。
 「......ルル、ついてきてくれ。さっきはごめんな」
 逢夜はルルに手を伸ばし、一回抱きしめると手を引いて門に向かい歩き出す。
 「......ひゅ~! ナイスカップゥ~」
 サヨはにやつきながら最後に門を閉めた。
 
 全員がサヨの世界に入った。
 サヨが戻った時には、千夜がルナの人形遊びに付き合っていたところだった。ルナもスズと更夜が消えて、不安で無理に遊んでいるように見える。
 「ああ、帰ってきたか。ずいぶんかかったな」
 千夜がおだやかに言い、逢夜が説明をする。
 「はい、私の術を解いてもらっておりました。そのままお姉様の術も解きたいところなんですが、それどころではない状況になりまして......」
 逢夜は代表して先程のことを話した。
 「なるほど」
 「では、どうするのだ?」
 千夜は頷き、栄次はプラズマに視線を向ける。
 「ああ、アヤを先になんとかしないといけなくなった......が、まずはサヨの世界を守るため、ルルに結界を張ってもらう」
 プラズマがルルにお願いをし、ルルはサヨの世界に厄除け結界を張る。
 「ん~、しかし、西の剣王軍のワシと東のワイズ軍の留女厄神(るうめやくのかみ)ルルがいるとなると......ちと怖いのう」
 ヒメちゃんは困惑した顔を向けた。
 「うーん、思ったんだけどー、今から千夜サンの術解けるよ。あたしは世界を探して広げる、ヒメちゃんは記憶を固定する、おサムライさんと逢夜サンが千夜サンの世界に入るわけでしょ? あたし、千夜サンの世界には入れないけどー、さっきで慣れたから門開いたまま動けるよ」
 サヨがそんなことを言い、プラズマは即座にやることを決める。
 「わかった。それができるなら、俺をアヤの世界に連れていってくれ。千夜はここでルナを守っていてほしい」
 「わかった。それが最適ならば従う」
 千夜はルナと遊びながら答えた。
 「プラズマ、アヤの世界にいるのはオオマガツヒの一部だろう? なんとかなるのか?」
 栄次が尋ね、プラズマは珍しく真剣な顔で口を開いた。 
 「未来を見た。アヤに入りこもうとしているのはヒトの魂......負の感情に支配された望月家の子供のうちの誰かだ。そして......」
 プラズマは一度言葉を切り、続ける。
 「動揺すんなよ、取り乱すなよ。スズは望月凍夜から酷い暴行をうけたようだが、俺は今、それは切り捨てるつもりだ。時神が狂う方がマズイ」
 時神達はプラズマの冷たさに驚いたが、最初にプラズマが言った忠告により、押しとどまった。
 栄次はひとり、悲しそうに口を開く。
 「弐に入ってから過去も見えた。凍夜は負の感情集めにスズのトラウマを再現したようだ......。生前、更夜にやられたことをそのままやっている。スズは怪我をし、泣き叫んでいるのだ......。すぐに助けに行くべきでは......。見ていられない。かわいそうだ」
 栄次はスズの状態を把握し、プラズマを見る。しかし、プラズマは首を横に振った。
 「感情に流されるな、栄次。まずは千夜を解放し、戦力を増やす。サヨは千夜の心の世界を見つけてから、俺を連れてアヤの世界へ入る。今すぐ動いてくれ。時間がない」
 プラズマがそう言ったので、ヒメちゃんは歴史の検索を始め、サヨは千夜の心の世界を開く。
 「私はどうすれば良い?」
 千夜は冷静にサヨに目を向けた。
 「なんもしなくていいよ。そのままで」
 「わかった。よろしく頼む」
 千夜はサヨに確認をとると、逢夜と栄次に頭を下げた。 
 「プラズマ......」
 いつの間にかルナがプラズマの元に来ており、怪我をし寝かされているリカや、プラズマの側で震えているアヤを見つつ、不安そうにプラズマを仰いでいた。
 「ルナ、大丈夫だ。過去見と未来見を使って俺達が何をするのか、見ていってくれ。ルナは能力を使おうとしなければ過去も未来も見えないんだろ? 怖くなったら力を遮断するんだ」
 プラズマはルナの頭を優しく撫で、軽く抱きしめて落ち着かせた。
 「記憶を繋いだぞい」
 ヒメちゃんがそう言い、栄次が千夜の心の世界に向かい歩きだす。後ろから逢夜もついてくる。
 「逢夜、気をつけて」
 ルルが慌てて声をかけ、逢夜は「ああ」と短く答えた。
 「栄次さんもお気をつけて」
 逢夜により、いつの間にか布団に寝かされたリカは栄次に小さく言葉を発した。
 「すぐ戻る」
 栄次はリカを安心させるように言葉を選んで言った。
 「じゃ、開いたからあたしはプラズマくんと行くわ。で、アヤは平気なわけ?」
 サヨは栄次、逢夜が千夜の世界に入るのを見届け、アヤに目を向ける。
 「......わからないわ。ただ、震えが止まらないの。大きな不安に押し潰されそう」
 「ヤバそうだね」
 「大丈夫だよ。私がここでアヤの肉体を厄から守るから」
 ルルがアヤの背中を撫で、プラズマはサヨに目配せをした。
 「サヨ、行こう。本当に大丈夫なのか?」
 「大丈夫だよ。歴史を繋いでるのはヒメちゃんだし。ヒメちゃん、共有お願い」
 サヨはヒメちゃんに手を合わせる。
 「わかったのじゃ。映像共有するぞい。必要あったら指示を出すからの。遠くても大丈夫なはずじゃ」
 ヒメちゃんは当たり前に言ったが、共有が何かよくわからない。
 「共有ってなんかの能力か?」
 「いやあ、サヨに神力があるようでの、それを使った画面共有のことじゃ」
 「ネット回線みてぇだな......」
 プラズマが眉を寄せたが、サヨが急かしたため、口を閉ざした。
 「アヤ、今からあんたの心にサヨと入るから、俺達を拒否しないでくれよ」
 「ええ......受け入れるわ。ありがとう......」
 アヤを残し、サヨとプラズマは屋敷から出ていった。
 
 プラズマとサヨはアヤの世界へと向かった。サヨがいなければプラズマは弐を自由に動けない。
 アヤの世界を見つけられるのも「K」であるサヨだけだ。
 「アヤの世界は?」
 宇宙空間を飛び回るサヨに勝手に引っ張られるプラズマは、どれがどの世界かわからず、とりあえずサヨに尋ねる。弐の世界は生き物分の心の世界がネガフィルムとなり螺旋のように連なっている世界。しかも、変動し、同じところに同じ世界がない。
 故に「K」以外は迷い、肉体に魂が戻れず、壱に帰れなくなる。
 プラズマはどの世界がどうなっているのかさっぱりわからない。
 サヨが頼りだ。
 「アヤの世界はここだね」
 しばらく宇宙空間を飛び回ったサヨは螺旋状に絡まるネガフィルムの一つで止まった。
 「なんか、禍々しいな......」
 アヤの世界は黒い砂漠に赤い空の不気味な世界だった。おそらく、元々はこうではなかったはずだ。オオマガツヒの影響か。
 「弐の世界の管理者権限システムにアクセス......『排除』」
 世界に入ろうとした刹那、横から声が聞こえた。サヨは咄嗟にプラズマをアヤの世界に叩き落とし、カエルのぬいぐるみ『ごぼう』を出現させると『排除』を向けさせた。
 「あっぶなっ! 誰? 『K』?」
 『排除』が当たったごほうは弐の世界から排除され、サヨは冷や汗をかきながら目の前に立つ少女を見据える。
 「私はメグ。ワダツミのメグ。
弐の世界が緊急事態だ。オオマガツヒを『黄泉』に帰さないといけない。あなた達は我々の邪魔だ」
 青い髪のツインテールの少女、ワダツミのメグはサヨを表情なく見つめながら言った。
 「ああ、なるほど......望月家の問題は関係ないと」
 「関係はない。我々に任せれば被害は最小限」
 メグの言葉にサヨは軽く笑った。
 「あっそ。じゃあ敵だわ。弐の世界管理者権限システムにアクセス『排除』!」
 サヨはメグを逆に弐の世界から排除しようとした。
 しかし......
 「『拒否』」
 メグはサヨの雷のような光を水流のような結界で受け流した。
 『排除』のプログラムを『拒否』に書き換えたのだ。
 「『排除』!」
 「『拒否』」
 「『排除』!」
 「『拒否』」
 何度やっても、『排除』が『拒否』に書き変わる。
 「ウソ......『排除』できない」

(2020〜)SF和風ファンタジー日本神話「TOKIの世界譚」Where stories live. Discover now