恋の病に薬なし

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「へえー。広いじゃん!!」
「いい感じ!」
俺たちは等々宿の中に入ったのだ。畳の床に俺たちは入り込んだ。
「じゃあ早速お風呂入りに行こうか!」奈央さんが皆に提案をした。
「おっ、俺も付いていっていいか?」
「ごめんねダーリン、でも女子だけよ。私の裸また今度ね❤︎」
おいおい、この二人はもうその段階まで行ったのか。早速女子は部屋を出て風呂へと行った。俺たちは部屋に残り、何となく部屋中に座りくつろぎ始めた。
「何する?」智が言った。
「晩飯、頼むか?」孝也が続けた。宿には飯出るだろ。レセプションでも言われただろ。
「後で来るぞ。」
「そっか、そっか。」
変な空白。なんだか不自然な空気になっている。俺らバンド5年もやってきてるのに、こんなに会話がない瞬間なんて初めてだ。孝也か智の方がよき喋るのに。
シーン。
「お、俺たちも風呂入ろうぜ。」急にまた智が提案した。
「そうだな。」
俺も自然にあいつらと一緒に行きことにした。

「ふぅ〜!気持ちー!」孝也は湯船の中に最初に体を浸した。湯気が溢れていて霧みたいに部屋を囲んでいた。孝也に続き、智それで京介が湯船に足を入れ込んだ。正直俺はこういう熱い空気は苦手だ。あの湯はおそらく40℃以上あるだろうな。俺、37℃も耐えられないのに。
「おい、拓海入らねえのか?」智が気楽そうに両腕を安らぎながら誘った。
「いや、体だけ洗う。」
「そっ。」
俺は霧の中シャワーと鏡が並ぶ風呂の反対側へと向かった。シャワーの温度を並べ区低く、熱さの中で体を冷やせる温度で汗と砂と塩水を洗い流した。鏡のボディージェルのボトルに手を出した瞬間、あいつらは部屋中響く会話を始めた。下品な話だから、他に誰も風呂を使用していなくて運が良かった。
「たか、奈央ちゃんさっき裸とか言ってたけど、もうヤッタのか?」智が口を出した。俺は話に載らないように体を洗うことに集中しようとした。
「いや〜、まだだ。逆に俺がまだ...」
「ほう、意外だなあ。隠れて草食系なのか?」
「多分なあ。」
相変わらず京介は一言も言わない。
「あっ、そうだ。拓海もすみれちゃんとどうなんだよ。」
「何がだよ。」やっと俺が喋った。
「関係。進歩したのか?」
「確かに、二人今日は怪しかったな。絶対に何かあった。教えろよ、たくみー!」
「別になんもねえよ。」
「本当かあー?全然話してなかったけど。」
「さっき、一緒に車で寝てたぞ。」
「ほほう、なるほど。今回の拓海のペースはスローなんだな。普段だったら会ったその日に寝る感じじゃなかったけ?」
「そうだなー!」
「もしかして、拓海の初恋?ありえるー!!」
ムカムカしてきた。どんどん俺の印象が悪くなってないか?なんで決めやがってるんだ??
「うるっせ!!あいつとは何もねえって言ってるだろ?!!」
「わかったって... 落ち着け。なっ?」
「もう出る。」
俺は水で流し終え、さっさと出て行った。更衣室の中からさっき用意されてた茜色の川の絵の紺色の浴衣を着て、洗面台に置いてあったドライヤーの電気で発射されている強暴な風をを髪と顔にぶっかけた。ムカつく。

「お、おかえり〜。」俺たちの部屋のドアを開けたとたん百合さんが言った。俺と同じモチーフの浴衣姿の女子四人がもう揃っていた。
「あれ?他のみんなは?」
「まだ入浴中です。」
「あらそっ。もうすぐお食事だからそろそろ来ないと...」
「おう!ビール下で売ってたから買って来たぜ!今日は飲んじゃおうぜ!」孝也がパーフェクトタイミングで登場し、奈央さんと百合さんがお酒にお祝いするように反応した。

***
晩飯は京介の好物の和風の海鮮料理だった。好物なのだから一番食っていたのは京介だった。刺身から焼き魚まで、煮た魚から茶碗蒸しまで、おまけにすぐに食われた貝まで揃った。満腹になった俺たちは少しの間腹を休ませたが、若い集団なのだからと、カチャッとビールの缶が開かれた音が響いた瞬間、パーティーの始まりだった。
「今夜は飲むぞ!!」
一つ、また一つ同じ音が聞こえきた。孝也たち、もっと盛り上がっている集団は大声を出し合って飲んで行った。逆に俺たち(俺、岡本さん、京介とすみれ)は静かに本を読んだり、音楽を聴いたり、PSPでゲームを始めたり、そういう感じな反社交的な事を始めた。俺も今のあいつらと交じりたくない気持ちだった。無視無視。
何やってるだよ、うわっ、奈央さんと孝也がキスしてるこんな所では見たくねえ。智と百合さんは何故あれを見て盛り上がるんだ?ほら、なんか奈央さんの浴衣が段々脱げてきてるぞ。って、何見てるんだよ、俺は。気持悪り。俺は部屋の反対側に正座して小説を読んでいるもっとお淑やかで落ち着くすみれの光景に目線を集中させた。
何読んだるんだろ。小説の表紙に... 11文字の...?あぁ、指が隠してて見えね。作者は、あっ、東野圭吾か。推理小説か。へえー、推理小説、好きなのか。俺も本読もっかな。って、何でそこまで俺は彼女がしている事に拘ってるんだ?!はっ!き、気付かれた!やべえ、そらしちまった。
あれ、百合さん。すみれに何を... 一杯飲むか、って、おい飲むのかよ。凄え飲みっぷりだな、一気に飲んで大丈夫か...?って、こいつ、酒弱くなかったっけ... 俺ん家に来た時寝たって、母さん言ってなかったか?彼女が缶から唇を離すと、急に頬が赤まった。小説も手から落っことし、上半身がフラフラと揺れ始めた。こりゃ、酔ったな。
突然、急に彼女の酔っ払った目が俺に集中した。遠い距離からずっと見つめられてる... なんだか怖え...
「おい!てめえ、ジロジロ見てんじゃねえよ!」と俺に指差して怒鳴った。部屋に居た人間皆がすみれの酔っ払った発言に目覚められた。彼女は乱暴にビールの缶を床に押し込み、こう言いながら俺に赤ちゃん歩きをして向かって来た。それが、生後一年くらいの赤ん坊みたいに。
「大体、お前はな〜!いっつもいっつも私につきまっとって〜!あれか?お前はストーカーっていう奴か?!」彼女の普段の冷静な声が小学生の生意気な声へと高くなった!
「ちょっ、すみれ大丈夫...」百合さんか奈央さんが言ったが、今はバタバタと俺にあのホラー映画の「エクソシスト」に出てくる少女のように近づいてる彼女がマジ恐ろしい!!彼女は俺の目の前で動きを止めた。壁に包囲された逃げようとしている気持ちの俺に彼女はそっと右肩に手を置き、五秒、いや、十秒間俺の目に集中された。
...
「............ お前は、可哀想だな。」やっと何か言った!
「何がだよ。」
「うーーーーん......... 素直じゃなくて。」
「どういう意味だよ。」
「だーかーらー!覚えてないのー?あの時私を家から追い出したこと!!」
えっ。...ああーーーー!!!!!!
「はっ?どういう事だ?」孝也が聞き出す。
「こいつさー!私をー ムグッ!!!」
俺は一刻も早く彼女の口を確保した。絶対にこいつらには知ってはならない事だ!!
「な、なんでもねえよ!なっ?すみれ、ちょっと休め、な?酔っ払ってるじゃね?」
ガチ。
イッテ!!こいつ何しがる!!両手で確保していたが離させる為に指噛むなよ!!
「うっせ!オレは言いたいこと言うんだ!」
おら?すみれの酔いキャラって、おっさんなのかよ...
「おいおい!辞めろよ!」
俺は集団にあの時の事を発表しようとしている彼女の腕を引きながら必死に止めようとした。
「離せ!離せよ!」
「辞めろー!なんで言わなきゃなんねーんだ!!」
「あんたへの復讐よ!!」
「復讐ってなんだよ!!」
「私をどれだけ傷つけたかわかるのかー?!!ガゥ!」
俺はそれを聞いた瞬間、自動的に腕を離してしまった。へっ、おい冗談だろ。傷つけた?何が。
「皆の衆!三浦拓海は私のファーストキスを奪い取って、すぐに家から出てけ!って追い出したんだー!」
...
「えっ、拓海くん、それって本当?」
「お前はすみれさんを家から追い出したのか...」
「マジかよ。」
... 終わった。全部終わった。最低な奴だと思われてる。
「あの後、どんなに泣いたか〜」
...俺の体がロボットの様に急に電池がブチ切れした。シャットダウン...
...
「ちょっと、どういうことよ?!すみれを泣かせたの?!」奈央さんが叫び出した。
「...」
...俺の評判が...
「なんとか言ってみなさいよ!!」
「...」
「おい!なんか言えよ!!」
だらしねえ。情けねえ。こんな俺じゃなかっただろう。いつも強気で恥は絶対に欠かない、三浦拓海様だろ。何やってるだよ。さっさといい嘘をつけ。こいつらをみんな誤魔化せる嘘を。だって、酔ってる女からの発言だぜ?なんで何も思いつかないんだ? ... 嘘つけねえ。すみれのことでは。全部事実だ。キスも奪い取ってから追い出すとは... 確かに最低な奴がすることだな。女心、わかんねえ。
「そうだ。」
「はぁ?!」
「事実だよ!俺はこいつのキスを奪い取って家から追い出した!仕方がねえだろ?!感情がその時は抑えきれなくてどうしようもなかったんだよ!あの時、心臓がムラムラ、ムズムズして自分がやったことを気づいたら恥ずかしくなって言っちまったんだよ... だって、あの瞬間、俺はすみれが好きだって...」
思い切って告白したはずが。なんでこいつ寝てやがる?!!
奈央さんは気分が落ち着いたようになり、倒れて寝たすみれ以外皆目をパッチリ開けていた。言うんじゃなかった。
「等々認めやがったな!」智... お前!
「そういうことっか!」百合さんも?!
「なるほどね。ふふ、今回の件は許すわよ、拓海くん、でも次すみれを泣かせるようなことしたら...」奈央さん...?
「叩き殺してやるぞ。」岡本さん?!
「俺、協力する。」京介が等々口を出した。
「私も!ぶっちゃけ二人お似合いだし!」
「俺も。」
「私も協力してあげてもいいわ。」
でもな。
「...いや、協力はいらないんで。」
「なんでだよ〜?仲間なんだからさ!」
「俺は... 初恋は... 自分でなんとかしたいので。」
「なんだそれ、良い男アピールかこのDouchebag!」
「なんでお前はそんな言葉を知ってるんだ、智!」
とこんな感じで今夜中はからかわれ、パーティーを終えた。すみれは俺の告白を聞いていなかったが、なんか聞かれてなくてよかったと安心感があった。だが、彼女の寝顔はまだ可愛かった。

本当の君はまだ知らない。Where stories live. Discover now