「す・み・れちゃん!!」
「うわっ!」
「ビックリした?」
「もう、成美さん...」本番前、約1時間。これからはメイクと衣装の準備。私はいきなり登場した成美さんに脅かされ、さっさと作業に取り掛かった。私は目を閉じ、顔の筋肉に力を入れないように努力し、成美さんが変身させてくれた。
「よーし、カラちゃん!!ランウェイはこれからよ!」
「いや、私、カラさんじゃないので。」
「でも、舞台はこれからよ!」
「...ん...」成美さんは座って自分の反射を見つめた私の肩を支えてくれた。
「大丈夫、大丈夫。精一杯やればなんとかなるわ。それに、応援してくれる人が盛り上がってるし。」そうなのか...応援隊来てくれてるんだぁ。「さっき入り口で大声で応援団みたいな格好してた子たちも居たなぁ。」!?それって絶対に奈央たちだっ!
「アハハハ...お、大袈裟ですね...アハハハ...」
「はい、じゃあとっとと着替えてらっしゃい!」
「...はい!」この前に着たドレスを見る度、「こんな高価な物、私みたいな未熟な人が着てもいいのか?」と何度も自分に問える。私はそんなにも凄くわけではない。別に完全体で本当に上手いわけじゃない。自分的にはこの機会は来るのは早過ぎだと思ってた。だって、真面な養成所の授業受けてないんだよ?大学では声の事や音楽の事を専門的に習っていたわけだし、実際のパフォーマンスは今日が初めて。私は初級中の初級。なのに、なんで?なんかいい事ずくめで不安になりそう。今年の私は、運が良過ぎて肝心なところで失敗しちゃう可能性が湧き上がってくる。でもこのドレスを着た後の自分を見ると、もう既に一人前に見えてしまう。自信家になる。まるで、もう舞台経験豊富なパフォーマーの様で自分の現実から離れてしまう。
ファッションって本当に人を変えてしまうのか。多分そんな理由で京介くんはこのドレスを選んでくれたんだろう。そう期待してしまう。でも、例え私の最初の舞台だとしても、この会場に立とうとしているみんなが同じ目的を果たすために来てるんだ。初舞台だという言い訳は通じない。私みたいな未経験者から上級者がこの大会の優勝を奪い合ってるのだから、私も...負けない。与えられた90秒に可能性は山ほどある。そうよ、拓海が言ってたようにこれはただの経歴。それほどの価値がある人間だと証明する場なんだ。私の未来はこの大会に依存するわけではない。この先が本当の本番なんだから。
カーテンを開ければ、成美さんはきっと笑って元気付けてくれる。
はず。
「ど、どうですか!」
「...」そ、草太くん?!!ここ、女子更衣室だよね?!他に人居なくて良かったけど...
「草太くん...?」
「に、似合ってる...と思います...けど。」
「ああ、良かった!てか、男子がここで何してるの。」
「あっ、いや、ちょっと他の人に頼まれて...」
「他の人...?」
「あっ、えっと、木村涼子さんに頼まれて...忘れ物をしたそうで、僕に取って来いって言われて...」
「それ、草太くん使われてるよ。」
「えっ...」
「単純なのね。」草太くんは自分にガッカリしていた様に少しブルッと震えた。草太くんは更衣室の鏡に行き、何かを手に取った瞬間、下を向いてたのだからか、付けてたメガネがコロッと、床に落ちた。そして草太くんは鏡に写る自分を見上げたら...本当にこいつ、誰って思うくらい、メガネを付けてた彼とは全く違う姿に変わってしまった。「...誰。」
「へっ?」
「あんた、誰。」
「えっ、僕、草太ですけど...」
「ええ!!?」
「な、何ですか?」草太くんはなんと、モデル業界に深く関わる人物でした。
草太ロドリゲス、メンズファッション誌の「men's vogue ジャパン」の売れっ子さん。バラエティー番組に出演したり、ここ2、3年では京介くんの様に「Tokyo Boys Collection」のランウェイにも歩いてるし、社会人女性の口コミの中では「思わず恋してしまう弟」か「誘惑されたい後輩」などなどどんどん卑猥なトピックになってしまうみたいのでこれ以上は言いませんが、とにかく、私の世代では知らないと変だという感じな存在。でもそんな彼がなんで...?
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BẠN ĐANG ĐỌC
本当の君はまだ知らない。
Lãng mạn大学生のすみれは高校時代からずっとSilver Stainというイケメンぞろいの人気ロックバンドのヴォーカリストとリードギターの三浦拓海に憧れ、大学で音楽を勉強して、いつか自分がシンガーソングライターになって一緒の舞台で共演したいという夢がある。 しかし、実際に直接会った日には想像ができない、日本中の女性がいつか恋した王子様の本心がすみれに明らかになる。