Mood Swings

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「ふっ...」
「...」
えっ、今の... 何?うと、えっと、こ、こ、こんな状況はどうすれば... 彼はずっと私の目をじっと見つめている。彼の頬は赤く変化しるうちに私の顔の体温も上がってる気がする。今私が目をそらしたらなんか失礼だな。どうしよう。はっ!ちょっと、今更何考えてるの?拓海、私のこと、好きなのか...
「拓海... 私のこと、好き...?」
「はっ...?」
「だって、今...」
「か、帰れ。」
「えっ?」
「帰れ!!!」
拓海の叫びが私の心の中を脅した。ギザっと言葉が大きな針のように心を刺し、目に涙が溢れ始めた。ひ、酷い。私は傷付いたあまり、彼に従ってしまい家を飛び出した。今夜の夏の夜の気温は普段より冷たかった。それても自分の感情が冷たいだけかな。うん。顔の肌が涙が染み込んで気持ちが悪い。
私は三浦家の土地のすぐ側にある公園の木のベンチに座り込んでで日が出るまで泣き過ごすつもりだった。メイクもダラダラと頬へと溶けて行った。
誰かを待っていた。
真夜中に私が一人。
自動車は数分のうちに通り過ぎたりしていたが、人影もなかった。
悲しむべきなのか?解放されて嬉しいのか?よく分からない。でも今は何故か孤独な気がする。もし私がもっと早く拓海のこと受け入れていたらこんな事になるはずが無かったのに。私、案外あいつが居る時、好きだったのかもしれない。一人の感覚がしなくて、寂しくなかった。
ざっ、ざっ。公園の砂に何かが動いていた。
「あの、大丈夫ですか。」
私は慌てて涙を両腕で拭いた。顔を見上げた瞬間、ジャージを着ていた私より年上の男性がこっちへ向かっていた。
「ええ。大丈夫です...」
「貴方、先程激しく泣いていませんでした?」
「えっ、別に...」
「俺、ずっと見てたんです。なんか心配で。」
「...」
私は奥歯を噛み、また溢れる涙を堪えようとした。すると、彼は私の隣に腰をかけ、私を正面に向き合った。
「よかったら俺に話ください。辛い思いをいつまでも堪えるのは精神的に悪いですから。」
初対面の人にこんな個人的なことを話していいのかな。私の目は泳ぎ、戸惑い始めた。
「もしかして、彼氏に振られました?」
「彼氏なんていません!ただ...」
「うん?ただ?恋愛でしょうか?」
「... 恋愛というか。人間関係というか。」
「男性ですか?」
「はい。」
「何があったんですか。」
話してしまう流れになってしまった。

***
「なるほど。流石にその方の行動は酷いですね。」
「なんで追い出されなきゃいけないのかわかりません!男の人って複雑です!」
彼は指先を彼の顎に当て、背筋を下ろした。
「彼女いない歴史三年の俺が言う事じゃないですけど、女性も結構複雑ですよ。お互い理解し合うのは難しいですから。」
彼の言葉の事を考えてみた。確かに女で分からない部分もいっぱいあるな。今の私だって。どうして怒ってるんだ?好きでもない人に怒鳴られて怒るべきなのか?それとも世間からの当たり前の感情なのかな。男女お互いの気持ちって変だな。
「そうですね。」
私の笑顔が少しずつ顔に戻って来た。問題を相談してよかった。気持ちがだいぶ軽くなり、もうムラムラした気持ちが失くなっていた。この人、いい相談相手だな。彼にお礼を言わなければ。
「なんかありがとうございます。相談に乗ってもらっちゃって。」
「いいですよ。気持ち楽になりました?」
「はい!すっきりと。あっ、お名前、伺ってよろしいですか?」
すると、彼はパンツのポケットから名所を取り出し、私に差し出した。社会人なんだ。
「森山雄二、ファッション雑誌のカメラマンをやってます。」
「カメラマンですか。かっこいいですね!私、大学生だから名所とか持ってなくて。あの、黒木すみれです。」
「まだ学生さんですか。何処に通ってらっしゃるのですか?」
「青蘭大学の芸術学部です。」
「青蘭か... 懐かしいな。俺、青蘭の芸術学部の卒業生なんですよ。学科は?」
「私は音楽学科です。歌手を目指していて。」
「俺は、まぁ、写真学科です。カメラマンになってもんですから。」
私達はその数分間自己紹介をし合い、色々森山さんのことを知った。歳は29歳、私より8歳年上。なんか大人でおしゃれな人、拓海とは違くて、こうして他人の事を気にしてくれる。って、なんで拓海と森山さんと比べれてるんだ?
「じゃあ、また相談したい事をがあったら俺に連絡してください。いつでも話聞きますから。」
「ありがとうございます。」
私達は道路の反対方向の道で別れ、私はウキウキと家に帰ろうとしたが...
「あっ!ちょっと、待ってください!」森山さんの声が後ろから呼んだ。すぐに振り返ったら、こっちへ走って来たのだ!
「えっ?!」
「忘れてた!」
「何を?」
「黒木さん、芸能界を目指していましたよね。」
「あっ、はい。」
「モデルやってみません?」
「も、モデル?!私が?!」
「な、なんていきなり、はいとは言いませんよね。」
「えっと、あの、えっと...」
「じゃあ、また今度!」
そう言い残して彼は坂道へ去って行った。その数日後、私は拓海の事とそれと少し気になるモデルの話を抱えていた。例え大学でたまに見かけても目が避けたがるし、なんかあれ以来に異性話したりサークルの飲み会でも拓海の事を考えてしまう。今何してるんだろう。どうしてあんなことするだ。

なんで私を避けるのか。

いつも一緒にいるはずなのに。
鬱陶しかったけど、嫌な場所じゃなかった。拓海の隣は。

本当の君はまだ知らない。Where stories live. Discover now