パティへ
勉強は、はかどっていますか?アニーもアーチーもわたしも、パティのことをよく思い出して、懐かしんでいます。
この間の手紙で、アーロンとわたしのことを、訊いてきたでしょう。
──不思議ね。
いつからアーロンに恋をしていたのか、言えないのよ。
結局わたし達二人は、収まるところに収まったってことかしら。
時々だけれど、わたしのアーロンへの愛情は、あなたやアニー、アーチーやアルバートさんへの愛情と、あまり変わりないのではないかと、思ってしまいます。
でも、全く違うと思うこともあります。
アンソニーのように、アーロンも花束をくれるので、驚かされています。
アーロンの優しさに心が動かされます。
何ヶ月もかけて、わたしのサプライズバースデーパーティーを計画してくれました。
ケーキには、"Sweet Candy" って書いてあったのよ。
先月、街で雑貨屋を営むベインさんが、アン・アーバーにあるホテルから仕入れた珍しい日本茶を、売っていました。
値段を見たらとても高かったのよ。
ベインさんが、わたしに匂いを嗅がせてくれて、たった一回だけアーロンに『あのお茶を試してみたいなあ』って、言った事がありました。
でも、アーロンがベインさんの店で買おうとした時には、もう売り切れでした。
そうしたらアーロンは、週末にわざわざそのお茶をアン・アーバーまで、わたしの為に買いに行ってくれました。
アーロンと一緒にいる時、──時々、もし、アンソニーが生きていて、共に大人になっていったらどんなだったろうと思います......。
でも、そんなふうに考えてはいけないのよね。
アーロンはアーロンで、アンソニーの影ではないのだから。
アーロンを知っていくうちに、彼の好きなところをたくさん見つけています。
アーロンはいつも陽気で、何処に行くにも幸せを運んでいきます。
アーロンは今まで会った人の中で、一番賢い人です。(ステアは別よ、勿論!)
アーロンがボストンに行っていたら、もっと出世していたでしょう。
彼お母様のジェーン夫人と妹のセシリアは、今まで持つことのなかった家族になります。
でもね、パティ......。あなたにしか言えない事があります。
わたしには、アーロンが必要ってわかるのよ、だってアーロンと一緒にいると、私の心はいつも落ち着いて安心していられるの。アーロンに手を握られると、平穏と平和を感じます。
その穏やかさはまるで私を守る盾のようです。
以前、アーロンが二人の可能性について訊ねてきた時、わたしは、また誰かを愛することが出来るのかと、自問しました。
恋をしている自分を思うと、漠然とした鼓動の音が聞こえます。
その音は、見つけられるのを恐れている場所へと、導いているようです。
でもね、そこには行きたくないのよ。
その場所は、再び知ってしまうのが怖い、かつて知っていた炎に包まれているのだから───。
アーロンに心を開いて、その音をまた聞くことが怖かったの。
でも、不思議ともう怖くありません。
アーロンと一緒にいると、アーロンの腕に包まれていると、わたしは安心でいられます。
だから......、パティには知っていて欲しいの、......わたしは幸せよ。
またすぐに手紙を書きます。
いつも変わらない沢山の愛を込めて
キャンディ
YOU ARE READING
The One I Love Belongs to Somebody Else 〜それでも君を愛してる〜 By Alexa Kang
Fanfiction小説キャンディキャンディファイナルストーリー後に書かれた、Alexa Kang による二次小説を、ご本人の許可を得て翻訳、編集した日本語版です。編集にあたり、若干のご協力を頂きました。いがらしゆみこ氏、名木田恵子氏が生み出した登場人物にあわせ、二次オリジナルキャラも登場します。