序章 偏頭痛

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・・・。

どのくらい眠ったのだろう?

目覚ましの音が煩い。

俺はベッドの上から面倒臭そうに腕を伸ばし音を止めると、瞼をこすり瞳を開いて天井を見た。

それから少しの偏頭痛を感じた。

昔から寝起きにソレがある時はきまって雨が降っていたので、今日もそうかと思ったが違っていた。

窓からさす朝日が痛い。

そういえば、俺はいつから偏頭痛が始まったのか覚えている。

確か小五の時だから、今から7年位前のこと。

大好きな祖母が死んで通夜の晩から半日泣きやまなかったら偏頭痛が始まった。

周りの大人達は皆、祖母の置き土産だとか笑って言ってた。

祖母が死んだのは梅雨時期もあって、ずっと雨が降っていた。 

 俺の偏頭痛は大抵雨の朝だし、祖母の置き土産というのも満更ではない。

最初は痛かったソレにも今ではスッカリ慣れて、生活に支障はまったくでなくなっている。

というのも、痛みは1時間も続かず、いつも学校に着く頃には治まっているのだ。

学生服に着替えた俺は、2階の自室から1階のリビングに向かった。

時刻は午前6時50分。

普段ならここに新聞を広げてコーヒーを啜る父親の姿があり、キッチンで朝食の支度を終えた母親の姿が目視できるが本日は違うらしい。

共働きの両親は早めに出勤したのかいない。

それどころか、朝食の匂いすらなかった。

こういう事は以前からあったので、自分でトーストを焼きミルクと一緒に体内に流し込んだ。

軽く身支度をすると家を背に、学校へ向かった。

不思議なことに学校に行く途中で誰とも出会うことがなかった。

また、いつもはけたたましく吠えてくる近所の犬は大人しく、遭遇した野良犬は道を開けた。

そして、車道には車が数台乗り捨てられていた。

もう、これは不思議というより異常だ。

とにかく学校に行き、クラスの皆にこの不思議ともいえる異常なことを話そうと思った。

時刻は午前8持5分、学校に到着した。

偏頭痛はまだ治まっていない。

校庭に入り・・・

下駄箱で履きかえ・・・

3階の自分の教室に着いた。

が・・・誰もいない。

誰1人いない。

親友の津田も川口も・・・

級長の佐々岡も・・・

クラスのお笑い担当だった達川も・・・

想い人の前田さんも・・・

普段なら会いたくない不良グループの金本も・・

誰もいない。

他のクラスも・・・

職員室も・・・

保健室も・・・

誰もいない。

今日は土曜日?

今日は日曜日?

今日は祝日?

そして、今日自分が誰とも・・・正確には人間に会ってないことに気が付き、俺はパニックになった。

学校中を走り回り、時刻は午前9時30分になろうとしていた。

おかしい・・・いつもならとっくに治まっている偏頭痛が続いている。

ソレがパニックにいっそう拍車をかけた。

夢なのか?

これは現実なのか?

ここはあの世で俺は死んだのか?

そして前触れもなくポケットから音が鳴る。

チャラリ~、チャチャチャチャチャチャチャッチャラリ~♪

パニックを止めたのは、妹から携帯電話の着信音だった。

その後もずっと俺の偏頭痛は治まることはなかった。 

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⏰ Última atualização: Mar 30, 2014 ⏰

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