|
||||||||
![]() |
||||||||
|
|
||||||||
|
|
2
目が覚めた時から、まあ、なんとなくそんな予感はしてたんだ。
いや、でも、言うほどショックではなかった。 だって、それこそ、もう、分かりきったことだったしな。 俺は、死んだ。 まあ、死の瞬間のことはよく覚えている。 心臓をナイフで刺された。 容赦なく。慈悲なく。、躊躇なく。完膚なきまでに。 だから、正直、自分が「ああ、終わったな」ってことは元々察していたわけで。 だから、こうして意識が存続しているのは......なんつうの......得した、という感覚に近いものがあった。 ただ、どうやら、生きているわけじゃなさそうだ。体はなんか半透明だし、物に触れない。......困った。 見ると、自分の死体が布団の上に寝かされている。体は綺麗にされていたが、なんだか、それが余計に生気を感じさせない。 「......びみょう」 恐らく自分はあの体から出てきたのだろうが、こうして、改めて自分の死体を見ると、中々に気持ち悪かった。自分の体なのに。さっきまであそこにいたのに。もう、あの中には帰りたくない。 嘆息する。 部屋の中を見回してみる。畳張りの、10畳ほどの和室だった。中央に、俺の死体が横たわる布団だけがぽつんとある。 さて......これは一体、どういう状況なのだろう? 葬式? いや......なんか違う気がする。 障子の方に向き直る。......仕方ない。少し散策してみよう。そう思い、障子を開けようと手をかけるが、見事にすりぬけた。 「......慣れねぇな、このカラダ」 ぽりぽりと頭をかく仕草をする。当然頭はかけない。 部屋から出るには障子をすりぬける......つまり、突っ込めばいいわけだが、いかんせん、「障子は頭からぶつかっていくもの」なんていう教育をされた覚えが無い。19年間しか生きなかった若輩者だが、正直、かなり抵抗あった。 そうはいっても、仕方ない。目をぎゅっとつぶって、前へ浮遊移動。いざいかん、すりぬけの境地。 ――と、瞬間、ガラッと障子の開く音がした。「へ?」と目を開ける。 「っ!」「ひゃわ!?」 目の前に広がる少女のドアップ......どころか、いや、接近しすぎて......。 <ぶわ> 少女の中をすり抜けて、背後にまで出てしまう。目の前には、どこの料亭かと思う夜の庭園が広がっていたが、今は、そんなものに心を奪われている場合ではない。慌てて背後を振り返る。 そこには、ぺたんと、女の子座りで崩れ落ちている少女が居た。こちらに背を向けているため分かり辛いが......身長と、さっき見た顔の感じからして、中学生か、高校一年生ぐらいか。年齢は分からないが、小柄という印象を受ける。 しかもこの少女、白と赤の着物......世間的に巫女服と呼ばれるものを着ているらしかった。その巫女少女が、「ふぇぇ」と、こちらに背を向けたまま、ぺたんと座り込んで泣きそうになっている。 「......なんだこの状況」 自分が、なにか、凄い悪者に思えてくる。死んでから、凄い大罪を犯したみたいな気がする。......あ、俺、もしかして「悪霊?」。うわ、なんか、やだな、それ。悪いことしたかもしんないけどさぁ......や、悪気は無いんだよ。あれ? でも、悪気無くても迷惑かける霊って、テレビとかじゃ、よく、霊能力者に強制的に成仏させられたりしているよなぁ......。俺、もしかして、結構まずい存在? 色々頭の中はごちゃごちゃしているものの、仕方ないので、まずは、少女にフォロー入れることにする。
|
|
||||||
|
© WP Technology Inc. 2009
User-posted content is subject to its own terms. |